2010年04月27日

【from Editor】子ども手当に学割精神を(産経新聞)

 昨春から大学院に通っている友人がいる。長年、高校教師をしていたが、教育委員会から再勉強の機会を与えられたのだ。

 五十の手習いともなれば、さすがに物覚えが悪くて苦労しているという。疲れ果てた頭を休める週末の息抜きは好きな映画。「学割が利くからな。鉄道旅行も楽しんでるわ」と笑う。その年齢で、とちょっとずるい気もするが、世の中は随分と寛容らしい。

 この学割なるもの、目的はいろいろとあるらしい。経済力の低い学生に教育と学習機会を提供する−が第一義だが、提供する側にも長期的な顧客確保の第一歩になるうえ、価格の弾力性でまとまった需要を生む効果があるという。

 私が好きな「学割精神」は30年以上前、大阪大学の古い教授に聞いた話である。

 今は大阪府吹田市にある阪大がまだ大阪市内の中之島にあったころ、近くの会社の社員食堂が安くてうまいと評判だった。昼休み前から学生たちが殺到し、品切れになって肝心の社員たちの口に入らないことが増えた。総務に苦情が殺到し、関係者以外立ち入り禁止にしたら、事情を知った社長が怒り出したという。

 「君らは何考えているんや。相手は大学生。それも阪大生やぞ。将来、あそこから銀行の頭取が出るかもしれんやないか。大事な取引先の社長になるかもしれんやないか。それが食い物の恨みで、うちと取引してくれんかったらどうするんや。それを思えば、めしぐらい安いもんや。好きなだけ食わしたれ」

 つまりは先行投資。温かく育ててやれば、お返しをしてくれることもあるかもしれぬという話である。押しつけがましさがなくて、この逸話は気に入っている。その会社は今や、世界でも名の通る食品会社に成長している。

 さて今春から、全国規模の学割のような新制度がスタートする。鳩山政権の目玉政策、子ども手当である。中学生以下の子供に月1万3千円、年にして15万6千円が支給される。高校の無償化も始まる。こうした子供対策に3兆円以上が使われる。これが生きた投資になるかどうかは、子供たちがしっかり勉強して、社会や経済を引っ張る大人、良き納税者に育つか否かにかかっている。

 子ども手当は、大人の期待のかかった贈り物。決して無償の愛ではない。その意味合いだけはしっかりと子供たちに、教えたいものである。(大阪編集長 安本寿久)

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2010年04月24日

2010年04月22日

<偽装献金>判決は20分弱 使途解明はされないまま終了(毎日新聞)

 鳩山由紀夫首相の「政治とカネ」を巡る事件で政治資金規正法違反に問われた元公設第1秘書、勝場啓二被告(59)を有罪とした東京地裁の判決公判は、残された多くの謎に一切答えることなく20分足らずで終わった。母安子氏(87)からの資金提供は虚偽記載と認定された4億円余をはるかに超える12億4500万円に上るにもかかわらず、詳細な経緯や使途は未解明のまま。首相の不起訴処分の是非を判断する検察審査会の議決が注目される。【伊藤直孝、杉本修作、青木純】

 鳩山首相は22日の衆院本会議で、検察に任意提出した資料の国会提出を求められたが、「弁護士と相談し、プライベートな部分は必ずしも公表する必要はないと考えている」と述べ、21日の党首討論と同様に否定的な考えを示した。

 以前は「すべてが終わってから書類の返還を(検察に)求め、そこで皆様方に見ていただきたいと考えている」(3月3日の参院予算委員会)と述べていた。

 このため自民党の新藤義孝氏は「どうしてそんなに発言がぶれるのか」と追及。首相は「資料は返還後、自らの資金管理の抜本的改革を目的に弁護士に分析、検証してもらう」とし、「資料は検察がすべて調べ、その上で処分を下したと理解している」と「後ろ向き」の理由を語った。

 事件では▽母安子氏からの資金提供が始まった詳細な経緯▽それに対する首相の認識▽その資金の使途−−などに関心が集まったが勝場被告の初公判は2時間弱で異例のスピード結審。被告人質問での言及もなかった。

 鳩山首相は、勝場被告が在宅起訴された09年12月24日の会見で「プライベートな経費についても勝場被告が一手に処理を引き受けてくれた」と説明。母からの資金提供は「天地神明に誓って全く知らなかった」(1月21日、衆院予算委)と繰り返しつつ、判決後に検察から資料返還を受けて国会で説明する意向を表明していた。

 しかし、判決を翌日に控えた21日。公明党の山口那津男代表との党首討論で一転して資料提出を拒み、勝場被告の証人喚問などにも「昨年6月に解雇してから一切連絡を取っていない。国会でお決めいただきたい」と述べ、幕引きする姿勢をにじませていた。

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